てんかんは慢性的な脳の疾患で、100人に1人の割合で患者がいると言われています。
突然倒れる・意識を失うといった症状は周りの人を驚かせますが、ある程度の時間が過ぎれば落ち着きますし、7割から8割の方は薬を服用し続けることで発作を抑えることができます。
それに、てんかんと一口に言ってもさまざまな症状があり、手足の一部をもぞもぞさせたり、動きが止まってボーっとするなどの軽度なものもあるのです。

てんかんの症状や対策法を知っておこう!

老若男女を問わず誰でも発症する病気です。どういった症状があるのか、どのような対策法を取ればよいのか知っておけばいざというときに慌てなくてすみます。
もしも発作が起こった場合には早めに専門科を受診するようにしてください。

間代発作と強直発作の症状について

てんかんの中でも特によく知られているのが強直発作・間代発作です。
てんかんは大脳の神経細胞が過剰に興奮することで起こる症状ですが、その始まりはいつも突然です。
急に全身が硬くなり細かいけいれんが10秒から20秒程度続きます。これが強直発作です。
左右同じようにがくがくと震えているはずです。手足は強く突っ張って身体がのけぞり気味になります。

脳の一部の神経細胞のみが異常興奮を起こしている部分発作であれば、自身のこのような様子をコントロールはできないまでも分かってはいるはずです。
しかしながら強直間代発作の場合、全般発作と言って、嚢全体の神経細胞が異常興奮を起こしています。
意識は消失してしまっているはずです。ちなみに、たとえ部分発作であっても意識障害を伴う場合もあります。これを複雑部分発作と言います。
複雑部分発作と違って意識がある状態の発作が単純部分発作です。

細かなけいれんはやがてリズミカルな動きに変わっていき、そのまま30秒から60秒程度続きます。これが間代発作です。
強直期には呼吸も止まっています。しかし間代期に入ると浅い呼吸から次第に深い呼吸に代わり、その後は眠るという流れを取るはずです。
間代期に入ると唾液が出てきたり、尿や便をもらすこともあります。
眠らずもうろう状態になる方もいます。発作の症状が起こるのはたったの1分か2分程度でしかありません。
長く感じられるかもしれませんがいつかは収まります。冷静に行動するようにしてください。

てんかん患者に発作が起こった時周りの適切な対応とは

突然に起こるためその時どんな体勢でどんな場所にいるかは分かりません。
危険の少ない平らな場所で寝かせ、頭を床で打ち付けないようタオルや衣類などで保護しましょう。
呼吸が回復した際に唾液や吐物が気管に入らないよう顎を上に押し上げて気道の確保をしてください。

食事中だった場合は特に食物が気管に入らないよう注意が必要です。とはいえ無理に口をこじ開けて食物を取り出そうとするのはやめましょう。
患者さんの口の中を傷つけてしまったり自身の指がかまれてしまう危険性があります。
患者さん本人は意識がないのですから、相手を傷つけないようにしようと気をつけることはできません。
とにかくその時間を安全に過ごせるようにして見守るしかないのです。病院で発作時の様子や発作の時間など聞かれることがあるかもしれません。
しっかり観察してください。もしもできるならスマートフォンやビデオでその様子を撮影しておくとよいでしょう。

発作がおさまって眠りに入ったら起こそうとはせずそのまま休ませてやってください。
ある程度眠ったら目覚めます。そのときの様子もきちんと見ておきましょう。
意識がはっきりしているようであれば元の生活に戻すことができます。頭痛やだるさなど不調があるならそのまま安静にして様子をみましょう。
もし、もうろう状態に突入した場合には周りの危険物を取り除いて見守りましょう。
行動を制御することで暴れる可能性もあるため一定の距離は保っておいてください。

てんかんは慢性疾患です。今後もいつ発作が襲ってこないとも限りません。発作前の様子についても思い返してみてください。
熱があったり疲れていたり、生理中だったり、テレビなど音や光の刺激があったりと、発作が起こりやすい状況に共通点が見つかるかもしれません。
それが分かればその状況が起こりにくいように改善できますし、ある程度予測もできるので対応しやすくなるはずです。

てんかんの発作にはさまざまな種類がありますが、一人の患者さんがそのさまざまな種類をその時々で発症するということはなくだいたい決まっています。
強直間代発作を起こす方はいつもその種類の発作です。
けいれんしたり呼吸が止まったりといった状態は見ていて恐ろしいものですが、冷静な観察こそが症状緩和につながるのです。すぐに収まるので慌てなくても大丈夫です。

欠伸発作とミオクロニー発作はどんな症状?

全般発作には他にも種類があります。欠伸発作やミオクロニー発作もその中の一つです。

欠伸発作は5歳から小学生くらいまでの女の子に多いと言われる発作です。こちらも数秒から数十秒程度の短いものです。
それまで普段通りに遊んだりしゃべったりしていたのが、突然動きが止まって一点をじっと見つめて無表情になる、瞬きだけはこまめに繰り返す、数十秒程度の短いけいれんが起きる、そんな状態が認められたらてんかんを疑ってください。
身体が前に倒れてくることもあるため、怪我をさせないよう気をつけてください。
発作の激しさは人それぞれで、場合によってはまわりの人が驚くほどの激しい発作を起こす子もいるかもしれませんが、たったの数十秒で収まります。
発作が収まれば普通の状態に戻ります。ただし、全般発作ですから発作時のことは本人は覚えていないはずです。
また発作が起きている時はたとえ呼びかけても反応しません。
むしろ、発作を起こしている状態が、他人から見た感じだとただ単にぼーっとしているだけのように思われてしまい、注意力がない・話を集中して聞くことができないと勘違いされ、てんかんであることに気がつかないケースも多いです。
もしかしてと思ったら診断を受けると共に、担任の先生や周囲の人間にきちんと伝えておいた方が、無用な誤解をされることなくのびのびと学校生活が送れるでしょう。

一方、ミオクロニー発作は全般発作ではあるものの、その瞬間の意識ははっきりしています。
とはいえ、瞬間的に全身、あるいは身体の一部がびくっとするだけなので自覚症状がない方も多いです。
これは脳の電気的興奮により筋肉が一瞬収縮するからです。
連続して数回けいれんすることもありますが、その場合には本人も異常に気づくでしょう。
意識があるとはいっても、一瞬のことなので制御することは不可能です。

もしも重いものを持っている場合に足に落としてしまったら大怪我をします。
持っているものを投げ飛ばしてしまって周囲に被害を与えてしまう可能性もあります。
全身や足の筋肉の収縮によって転倒してしまうこともあり、場所が悪かったり患者さんがお年寄りだったりなどの場合もあり、発作時の危険性は高いです。

この発作は光によって誘発されやすいという特徴を持っているため、寝起きや寝入りのタイミングで起こりやすい傾向があります。
ミオクロニー発作の患者さんの場合、寝室には危険物を置かないように注意しましょう。

こういった症状でてんかんと診断されると、治療薬として抗てんかん薬が処方されるでしょう。
治療薬はパルプロ酸やエトスクシミド・ラモトリギンなど症状や体質に応じてさまざまな中から選ばれます。用法用量を守って服用してください。
抗てんかん薬の中には、グレープフルーツなどの禁忌食品が存在します。
薬と同時に摂取してはいけない食材をきちんと確認しておいて、自宅での献立に出さないと共に、患者が子どもの場合は学校給食についても十分に配慮してもらえるよう、担任の先生にも事前に相談しておきましょう。

てんかん患者は、7歳くらいが平均発症年齢で、成人で発症するという方は稀です。年齢を重ねていく中で発作は徐々におさまっていくはずです。
とはいえ少しでも発作が起こらないようにするため、また正しい知識を身につけるためにも、病院できちんと診てもらって医師の判断を仰ぐようにしましょう。
乳幼児のうちはまだ脳が未熟なため、正確な診断は難しいのですが、小学生ぐらいまでなると、脳波を調べればてんかんかどうかはすぐに分かります。
棘のようになった棘波や、幅広で大きなとがった波の鋭波など、通常とは違う波・発作波が出てくるからです。
脳が未熟なうちはこのような棘波や鋭波などの脳波の特徴は捉えにくいことから、乳幼児のうちにてんかんであるという診断が出されることは稀です。

てんかん発作は遺伝することはある?

自身の子どもが初めててんかんで発作を起こすと、親はとてもあせるはずです。
落ち着いて周囲の危険物を取り除いたり気道を確保したり、経過を観察したりなど、冷静になれるどころではないでしょう。数秒が数十分にも感じられるかも知れません。
親もてんかん患者であって、子供の頃に何度も発作を経験しているのであれば、一般の人より知識もあることから、少しは冷静に見られるはずです。

てんかん発作は遺伝しません。
たしかに両親が発症している場合には「発作の起こりやすさ」という点は遺伝する可能性もありますが、別の原因もからまりあって初めて発症するものなのです。
一部、発作を起こしやすい素質が関与する点もあるものの、多くの場合は両親が発症しているからといって子供も必ず発症するとは考えられていないため、安心して次の世代に命を残してください。

ただし、治療薬として処方される抗てんかん剤は胎児に影響を与えるかもしれません。
それに妊娠中の発作そのものが、流産などの危険性を引き起こさないとは限りません。大きな発作は胎児の脳を低酸素状態にしてしまうという報告もあります。

今の時点では、妊娠との関係性や薬の胎児へのメカニズムに対して十分に解明されていないのです。
できうる限り薬の量を減らしながら妊婦生活から授乳期間までを送ることになるため、普通の妊婦さんよりもリスクは高いのです。
主治医と相談をしながら慎重に行わなければなりません。

てんかん患者は葉酸が不足しないようにする

てんかん患者の場合、葉酸の摂取が重要課題となってきます。
妊娠中、ブロッコリーなどにも含まれている成分・葉酸が不足することで、赤ちゃんが奇形になったり発育障害が起こったりといったリスクが高まることが知られていますが、実際に厚生労働省でも、葉酸を積極的に摂取することを推奨しています。
葉酸は主に野菜に含まれ熱や水に弱い性質を持つので、食べ物からだけだと仮に野菜をしっかり食べても不足しないとは限りません。
おすすめはサプリメントを使用することです。
安全性も高く、鉄分など妊婦さんに必要とされるその他の栄養素もバランスよく含まれた妊婦さん向けの葉酸サプリを妊活中から続けることをおすすめします。

実は抗てんかん薬を服用することで、血中の葉酸濃度が低下しやすくなるのです。
受精直後から胎児の発達は始まりますが、妊娠が分かってから慌ててサプリメントをはじめても手遅れとなるかもしれません。
妊活を意識し始めたころから少なくとも妊娠3ヶ月までは続けてください。その間に胎児の重要な臓器が形成されるのです。

一部のてんかんは、発作の起こりやすさを受け継ぐだけでなく、遺伝子が関係するものもあります。
ただしその多くは良性で、正しい治療を続けていれば治癒するものです。自身が経験していた分、子どもの発作が起こっても怪我をさせることなく冷静に見守ることができるはずです。
そのため、自身がてんかん患者だからだとか、子供時代に何度も発作に悩まされたからということが理由で結婚できないという心配はないのです。
それに、妊娠中は薬の量を減らさなければならなくなるとはいえ、発作が起こりやすいのは7歳くらいの小さな子供です。
結婚妊娠する頃にはもうだいぶ収まっているはずですから、薬の量を減らしたり止めたりすることに何も問題は無くなっているはずです。それほど深く考える必要はありません。

遺伝が原因ではない以上、危険なのは健常な夫婦の下に生まれた子供に突然に発作が襲ってくるということです。
そんなときにあせらないためにも、むやみに不安がらないためにも、てんかんについてのある程度の知識は持っておくことが必要です。
病院で発作が起きた際の対応方法について学び、何度も襲ってくる発作を経験する中で次第に冷静に観察することはできるようになるはずですから、とりあえず最初のうちは大切な我が子が怪我しないようにだけ注意してあげてください。